マリオ・ブルネロ 「アローン」 |
何年か前のNHKの芸術劇場で、ブルネロをソリストに迎えてのサン=サーンスの協奏曲が放送されていました。
そのアンコールとして、ブルネロがカサドの無伴奏の3曲目を演奏したのですが、 その時の驚きは今でも覚えています。 切れば血が出そうな、生き生きとした彼の演奏を聴く度に、 これが音楽なんだなと思います。 このアルバムは最初から最後まで無伴奏で演奏されていますが、 聴いているうちに、たった一人で弾いている、ということを忘れてしまうくらいの内容の密度が感じられます。 全ての音楽好きに聴いてもらいたいですね。 |
ルクー:チェロソナタ |
いわゆる大家といわれる演奏家の演奏をこれまで何度も聞いてきたにもかかわらず、これほど胸に染み入るアルペジョーネソナタはないように思う。シューベルトの哀愁は思い入れたっぷりの愁嘆場でも、大家の堂々とした弾きぶりでもなく、言ってもせんないことなれど、とでも言うような、諦観の漂う哀愁と思う。過ぎ去りし青春への郷愁ともいうべきか。それは懐かしさと寂しさと甘さを伴う。両演奏家のこの曲の解釈がそういう所で一致していて、素晴らしいデュオを聞かせてくれる。繊細で柔らかい感受性、激情と常に距離を置く覚醒したスタンス、青春を過ぎたばかりの若々しさ・・・。特にピアノは夢見るように美しい。 |
赤の森
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